Unlimited-lounge- 20周年という節目に、
私達が届けたいもの。
それは完成したプロダクトだけではなく、
そこに込められた想いや、作り手の存在です。
限定アイテムの制作にあたり、
デザイナーへのインタビューを行いました。

” PETROSOLAUM “
荻野 宗太郎 氏
鵜飼(以下U) : 皆様にお聞きしています。
なぜデザイナーになったのですか?
荻野(以下O) : 色々考えたのですが、
デザイナーになりたいって思ったことがありませんね。
U: 僕は荻野さんから
クリエイティブなイメージしかないのですが。
O: 表現者になりたかったんだと思います。
自分の中で考えてることや思っていることを
物を通じて人に伝えたい。
だから一度もデザイナーになりたいって思ったことがないですね。
今でもデザイナーって自分のことを言えないですよ。

U: こうしてデザイナーインタビューとして
記事にしていますがしっくり来ていない感覚なのですね。
PETROSOLAUMの展示会は実は特殊で、靴の展示会って
普通は新型やプロダクトの説明から入るのですが、
荻野さんの場合、明確にシーズンのテーマがあって
影響を受けた物や事を反映させてコレクションを作っていて
それって結構珍しいことだなと最近特に実感しています。
O: ありがとうございます。
新型や新素材を提案させていただく背景は
しっかり伝えたいという気持ちが強いです。
そしてコレクションテーマの
出発点になることは大体身近なことですね。
子供といる時とか旅行だったりと、五感で感じる体験からですね。
それが自分の表現の方法なんだと思っています。
そんな繊細な人間でもないですし。
U: そんなことないですよ (笑) 。
例えば直近のコレクションでは奄美大島の泥染を使ったアイテムなど
色々な伝えたい事、表現したいがあるだろうなと。
26AWのブーツなんて最高でした。
O:日本人としてやはり、日本の伝統的な技術は
自分の中で大切にしている部分でもあります。
それらを自分のフィルターを通して
製品に反映できたことは嬉しく思っています。

U : 昔、何着たりしてましたか?
O:振り返るとかなりの雑食です。。。
アメカジやストリートも通りましたし、その後モード、
アルチザンに移行していった感じでしょうか。
ここ最近は、コラボレーションをしている
ブランドJAN JAN VAN ESSCHEを着る事が多いですが、
御社でお取り扱いのあるLEMAIREも着ますし、
先日購入させていただいたPOSTELEGANTも気に入って着ています。
年齢とともに、ここ最近はよりナチュラルな
スタイルを意識したものを好んで着るようには
なっていますが相変わらずの雑食ですね。
U: 前半意外過ぎます。
ブランドならではのそのジャンルの匂いが
しっかりと感じるブランドをお召しになっている印象です。
でも、思い返してみるとランニングされていたり
アクティブなことはお好きですもんね。
O: はい。最低年1回はフルマラソンを走っていて、
自己ベストを出せるようにトレーニングしてます笑
先ほどお話した洋服のお話もそうですし、こうしたライフワークや
趣味思考って、自分の強みだと思っています。
レザーシューズを作っているデザイナーさんで、
作っている背景や歴史とか、
クラシックとはみたいなものを
フォーカスされる方もいらっしゃいますが
自分が掘り下げるところは全く違うというか。
だからモノも変わって見えてくるんですかね。
U: つまりドレスを突き詰めて、盛り上げていこうぜって
いう感覚よりもペテロの靴には、歴史やクラシックな作りや順序を
優先ではなく使い方やスタイルに柔軟性がある物作りってことですね。

U: 革靴に興味を持ったのはいつからですか?
O: 大学生ですね。話が戻りますけど、
先程お話した表現者になりたいと思ったきっかけがあって、
学生の頃から今の奥さんと付き合っていて、
私は一般の大学に、彼女は美術系の大学に進みました。
彼女の友人と交流する機会が多く美大の人達と知り合い、
周りの色んな人がモノ作りしていて凄い素敵だなって。
当時の自分にはその感覚がなかったので
こうやって自分を表現する術があるんだなって。
U:美術は平面や立体で多種多様ですもんね。
そこからどうしてそうなったのですか?
O: はい。当時からファッションが好きで、
ただ、自分が小柄なのでサイズ選びに苦労していて
特にインポートの物なんて、なかなか自分のサイズは入ってこないし
ゆるいスタイルで騙しつつ楽しみながら着ていたんですけど、
特に靴のサイズが本当にないのが当時の悩みだったんです。
自分の中で悶々とした時間を過ごしていく中、
ふとテレビで靴職人のドキュメンタリーを目にしたんですよ。
靴って人の手で作れるんだ。こんな作り方するんだって。
木型も知らなかったし、革を引っ張って、ガンガン叩いて。
こんな風に出来るんだって。
その時に自分がネガティブに感じていたいろいろなものを、
自分で作れるっていうのは、勝手に何処かの扉が開いた感覚があって
だったら自分の靴を自分で作りたいなって。

U: それが荻野さんのきっかけだったのですね。
ちなみに何歳の頃だったんですか?
O: 大学3年生くらいだった気がします。
それから3年生の終わりくらいに、
靴の教室を見つけて学校の後に通いました。
そこで何足か作り、それなりに満足して自分で履いてみたりしました。
でもドキュメンタリーで見ていた映像と底の貼り方が違ったんです。
僕が通った所は、糊を塗って付けて、圧着機で圧着して終わりまでの
簡易的な作りしか出来ない所だったんですよね。
U:一般的な圧着製法の既成革靴ということですね。
O:そうです。ドキュメンタリーで見たような、中を手で縫ったり、
アウトソールを縫ったり削ったりするやつはやらないんだ。
どうせなら全て手作業の作り方を学んでみたいなって思って
大学卒業して働きながら、現役を引退された職人さんが
手製のビスポークの縫い方とかを教えてくれる
工房に2年間通い続けて学びました。
その後はインテリア、アパレルの仕事をしながら
、友人や家族など、近しい人たちを中心にオーダーをもらい
靴の製作を続けながら、ブランド立ち上げの準備をしていました。

U: ビスポークの靴作りの基礎や知識、
様々な製法や技術はその時代に吸収し、
自分なりのスタイルや表現としてブランドが始まったのですね。
その当時のオーダーはほぼフルハンド?
O:はい。 当時はマッケイ、ハンドソーンも
全て手で製作してましたね。
今ペテロで作っているハンドソーンは、
九分といって外の出し縫いは機械ですけど、
当時は、フルハンド。出し縫いも
一針、一針穴をあけて作るやり方でした。
大体靴を学んでいくと、皆ビスポークがやりたいとか、
メーカーや工場に入りたいって人がいるんですけど、
自分は表現がしたい方だったので、ビスポークではなくて
ブランドとして自分の靴を表現したいと決めていました。
U: デザインをしたい思想とビスポークの物作りの過程や基準が
噛み合わさったのがPETROSOLAUMってことなんですね。
O: そうですね。手製で作った靴は、
履いた時にやっぱり履き心地が良いんですよね。
外から見たら分からないけど、
ああ、やっぱり履き心地が良いなぁって。
当時は他のブランドさんの靴も履いてましたけど、
足が疲れたりとか、靴擦れや痛みが出たりとかしていたので
カッコ良くて履き心地が良いのが一番良いじゃないですか。
最高の履き心地に加えて自分で表現したい素材だったり
デザインで勝負したいっていうのは、今も変わってない所です。
U: なるほど。自分は荻野さんの靴って
素材のバリエーションもそうだし、製品のデザインも
世にある靴ブランドにはないものが多いと思っています。
革靴ってテンプレ化されているディテールが多いって自分は思うし、
一般的なクラシックって部分があるじゃないですか。
僕個人としては、素材は大好きでもデザイン的には保守派で
PETROで最大限評価している部分が履き心地なので
豊富なデザインよりも一般的の人達にも受け入れらるものを
作ってくださいよ!と願っていたりもしましたが
表現者っていうお話を聞いて腑に落ちました。
O: そうですね。
僕は、全てオリジナルでありたいんです。
もちろん、自分のところの靴が一番良いとは思っていますけど
365日うちの靴を履かなくても全然良いとも思ってます。
良い靴っていっぱいあるじゃないですか。
だから、1週間のうちの一足になってもらうのも良い。
でもその時のその一足はPETROにしかないよね
ってモノだけを作りたい。
っていう思いもあって、他のブランドでもよく見かけるものは
僕がやる必要はないと思ってるんですよ。

U:10年前の周年企画では、オールデンで有名なホーウィンコードバン
今回の20周年企画では、エキゾチックレザーサンダルという
またも憧れ素材をPETROの履き心地で叶えたい別注という無茶振りに
お応え下さり大変嬉しくおもいます。
O: 実は今回のは少し違う楽しみがあって、
鵜飼さん、永井さん、牛丸さん各々希望の素材というオーダーもあり
1つのデザインに対して同時に違うエキゾチックを
触って作るのは初めての経験なんですよ。
勉強になることも多くて、同じ型紙でも柔らかさが違えば、
質感というか全然違って見えるし、
僕の中ではチャレンジの部分でもあったし、
また一つレベルを上げさせて頂いたなって思っています。笑
U: デザインの部分でもインラインにないオリジナルという
本当に特別な依頼にも応えて下さり感動しています。
ご提案頂いたディテールもデザイン面だけでなく、
履き心地の部分でも一役買ってくれそうですし想像するだけで
サンダルから想定できる機動力を超えてくれる期待しかありません。
O: そう、この部分のデザインは
こうしたいって伝えたじゃないですか。
その案が加わることによって、
デザインと履き心地でプラスになる要素があって
想定を超えるオリジナルになるならと思い提案しました。
靴って世界が凄く小さいのでやれることが限られる中で
何かを少し変えて個性を出していくかっていうのは
いつも凄く考えてます。
U: どういう経緯で今の履き心地になったんですか?
ちなみに靴の底の革って全部同じですか?
O: 素材としては全部一緒です。
牛革ですが部位が違ったり鞣しの工程はそれぞれにあります。
自分で試し履きするじゃないですか。
結局僕の好きな履き心地がベースになってるんですよ。
僕は昔習ったやり方、素材使いなどアナログが根底にあって
実はそれが一番履き心地がいいんじゃないのかなって思ってます。
あとは、木型の問題もあると思いますね。
人それぞれ美学があるとは思うので否定はもちろんしませんが
ピッタピタで履いて、最初痛い思いして慣らしていっていうよりも
自分はタイト過ぎる履き心地は好きではないので、
甲でフィットさせる履き感をイメージしています。
それが恐らく皆さんが履きやすいって
言ってくれてる理由なのかもしれないですね。
U: あの甲でフィットし、
中で少し指があそぶくらいの感覚堪りません。
僕も名門シューメーカーも一通り買いましたが買って満足して
結果毎日でも履きたくなる靴が結局最高だと思っています。

U:最後の質問になります。
今後の展望は?
O:ブランド創設当初から変わらないところで、
ハンドによるテクニックを活かしたモノづくりを
根底にしっかり持ちながら、幅広い製品を展開し、
シューズブランドとしての新しい立ち位置を
世界の中で確立したいです。
U:そのポジションを世界で確立したら、
日本の革靴界隈に衝撃が走りそうですね。
そして、3/7.8.9のお披露目が本当に楽しみです。
ありがとうございました。
O: はい、楽しみにしていただければと思います。
ありがとうございました。
[ s c h e d u l e ]
“3/7 – 3/9”
PETROSOLAUM SPECIAL ORDER & PERSONAL ORDER
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