“PETROSOLAUM PERSONAL ORDER”
今週末から数年ぶりの開催ということで
心待ちにして下さっているお客様もいらっしゃると思います。
当日は、目移りするほどのシューズサンプルが並び
Unlimited-lounge-のセレクトで切り取った世界観とは、
異なる側面も持っているブランドなんだと受け手によって
様々な解釈と興味を深めて頂ける機会となり
まさにPERSONALな体験になるだろうと
私達は確信しております。
日々お客様からの期待の声をお聞きしますし、
BLOGを書いている今既に楽しみです。
世界のファッション業界人達に愛されるこのブランドの
シューズも手掛けており、日本の革靴ブランドで世界に向けて
挑戦し評価されている稀有な存在の
“PETROSOLAUM”
セレクトショップとして
ブランドの魅力や優れたプロダクトを世に伝えていく為に
今回アトリエにお伺いし、製作の裏側へ一歩踏み込み
お話を伺ってきました。
流石に1日だけではアトリエでの全ての工程を拝見できる訳もなく、
現在行っている作業の一部を撮影してきたので
写真と共に解説して参ります。
かなりのロングBLOGとなりますが最後までお付き合い下さい。
プロダクトとしてミニマルなデザインの完成度はもちろん、
私達スタッフをはじめ、所有している皆様が口を揃えて言い切る
“最高の履き心地”
その理由を紐解く機会となれば幸いです。
革靴作りの工程をかなり大きく分類すると5つの項目に。
細かく分けた場合100を優に超える工程がありますが、
そんな根気は読者も筆者も持ち合わせて
いないでしょうから割愛させて頂きます。
1.デザイン
2.裁断
3.縫製
4.底付け
5.仕上げ
PETROSOLAUMは量産分に関して上記工程の
1.2.3.5をアトリエで全て行う体制をもっています。
今回見学させて頂いたのは、2.3の工程のほんの一部ですが
実際に作業している姿を拝見すると
お洒落な荻野兄弟から完全に職人の姿へ。
当店で定番的に展開している
03 lastを使用したハイエンドラインの中のモデル
”Whole cut (cordvanbutt)”の作業風景をご覧下さい。
”マーキング”
タンナーにて鞣され、仕上がってきた革を一枚一枚全て目を通し、
製作するモデルごとに
適正な部位が入ることをイメージしながら仕分けをします。
その後、革にモデルの型紙を当て込み、
左右を合わせるように一枚ずつマーキングします。
PETROSOLAUMでは、変則的なものを含め、
一枚使いのパターンが特徴で、その中で生まれる
素材の繋がりや動きの美しさを表現しています。
動物から採れるものですから一枚一枚サイズも異なり、
コードヴァン層の箇所の入り方もここで決まってきます。
特にこのcordvan buttでは重要な作業となります。
荻野氏のポリシーとして、
一枚の革で一足分を取り切れるように調整するとのこと。
他の個体で補填せず、素材への敬意を払うという念も素敵です。
”荒断”
マーキングした革を裁断する前に、
パーツ毎に荒めに裁断をします。
その後、縫製の仕様に合うように、
素材の特性を十分に生かすため、
経験からはじき出した数値へ素材ごとに厚みを調整します。
”裁断”
各パーツに全てアタリ(縫製の為の仕様)を
入れ込み丁寧に裁断します。
量産向きの大きな工場の場合は
レーザーや型抜きで一気に裁断しますが、
PETROSOLAUMの場合革の状態を見て
パターンの配置を決めているので一枚一枚裁断していきます。
”革漉き”
裁断したパーツを縫い合わせた際に、
革2枚分の厚みが出てしまわないよう
端にグラデーションを付けていきます。
端を折り返した時の厚み調整であったり、
パーツを貼り合わせた時に、フラットにする為もそうですし、
踵部分の丸みを生むための縫い割り部分までも
一ヶ所ずつ”革漉き”しています。
この作業は足あたりにも大きく影響するところなので、
見えない箇所ではありますが、丁寧な仕事が見てとれます。
もちろん、素材によって適正な数値は変わってくるので
素材、仕様ごとに使い分けながら作業を進めます。
” 糊付け&補強 “
履き口や、縫い割箇所、シューホール部分など
革の強度だけでは脆い箇所を補強テープを用いて
強度を持たせていきます。
“縫製”
こちらのモデルの場合は
まず踵部分を縫製し、ヒールの立体を作ります。
次に、アッパーとライニングを縫製。
洋服と違って縫い穴が残るため、完全に一発勝負の世界。
“折り込み”
革漉きし、縫製したパーツの端を丁寧にハンマーで叩き、
折り込み、癖付けていくことで仕上がりの
美しさを追求する為に重要な作業です。
whole cut では履き口の周りにステッチが見えない
袋縫いの仕様(レベルソ仕立て)となっています。
革漉きしたアッパーとライニングの履き口を縫い合わせた後に、
端を丁寧にハンマーで叩き、癖付けていきます。
革を漉き、補強し、
アッパーとライニングを縫い合わせ、
端を折り込んだ後、
仕上げの糊付け
アッパーとライニングが繋がり裏返したところで
ようやくwholecut らしいルックスに。
アトリエで見学できたのはここまで。
ここからは、4.の底付けの作業になりますので
アトリエ外で底付け専業の職人に依頼をしています。
創世記の頃はご自身でも行っていたのですが、
今は生産量も増えてきたこともあり、
共に靴作りを学んだ信頼できる仲間に
依頼する生産体制をとっています。
底付けの作業としては、
中底製作
先芯、カウンター入れ
釣り込み
シャンク付け
掬い縫い
コルク入れ
など色々とございますが、
個人的に驚いたのが”釣り込み”作業までも手作業ということ。
既製品は釣り込み作業も機械で行われていることがほとんど。
大量生産しなければならないので手で行っていては
時間もかかり、手作業となると熟練の技術を要するような
大変な作業のため現在の技術の発展から機械化することは
当然と言えば当然ですけど
最もクラシックな製法として、
PETROSOLAUMはそこに拘っているように思います。
高級ビスポークで見られるような工程を踏み
作り出される革靴ですから
あの使い心地の良さが生まれるのです。
今回のイベントに合わせて通常店頭では展開していないモデルや、
イベント期間内のみでしかオーダーできないモデル等、
たくさんのsampleモデルをご用意いたします。
BLOGではwhole cutのモデルのみのフォーカスでしたが、
それぞれのモデルにストーリーがあります。
是非、デザイナー自身から直接お話をお聞きし、
ご自身の目と身体で体験し、お楽しみいただけたらと思います。
今週末楽しみにしていてください。
皆様のご来店お待ちしております。
[event schedule ]
5/15-5/31 SUMMER KNIT FAIR
5/24-5/27 PETROSOLAUM PERSONAL ORDER
6/1-6/9 The Terrusse POP UP
6/8-6/16 D’ORSAY POPUP
【 UNLIMITED -lounge- 】
〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄3-23-24
NAGOYA FLAT 1F
052-251-6680
https://unlimited-web.jp/
【 MON – FRI 】13:00 – 19:00 ※ closed on Tuesday
【 SAT,SUN,HOLIDAYS 】12:00 – 19:00