Unlimited-lounge-20周年という節目に、
私達が届けたいもの。
それは完成したプロダクトだけではなく、
そこに込められた想いや、作り手の存在です。
限定アイテムの製作にあたり、
デザイナーへのインタビューを行いました。

“POSTELEGANT”
中田 優也 氏
“AL”
山鹿 竜輝 氏
鵜飼&牛丸(以下UK/US) : 皆様にお聞きしています。
なぜデザイナーになったのですか?
中田(以下NT) : 小学生の頃からですね。
卒業文集に「将来自分はデザイナーになっている」と書いていたので
これがキッカケだったというのは覚えていなくて
気づいた時にはデザイナーになると思って生活していました。
US : ご家族が洋服好きだったとかですか?
NT : 僕は岐阜出身なんですが、3つ上の姉の付き添いで
名古屋のナディアパークにあるBEAMSとか古着屋に通っていて
その時に自分の着たいモノとか洋服自体に興味を持ちました。

山鹿(以下YK) : 僕はずっと野球でした。
高校三年生の時から本気で甲子園を目指していたくらいです。
でも高一くらいで「プロは厳しいな」って感じ始めて
その頃からずっと好きだったファッションの道を選びました。
山形県が出身地なんですが
祖母がブティックを営んでいて、幼い頃から服が身近な環境でしたし
母親も学生時代にはファスナーの研究をしていたりと
洋服に特化している家でした。その影響もあり、
山形にあるセレクトショップに足繁く通っていましたが
そこのオーナーさんに進路を相談した時に紹介された
文化服装学院に入学を決めました。
UK : それはバッグや小物の専攻だったんですか?
YK : 実はアパレルデザイン学科です。
洋服をそこから学んで、様々なコンテストで受賞していくうちに
同級生で今活躍されている mame kurogouchi デザイナーと
パリのルーブルで合同で作品を制作していた時もありました。
それから海外で洋服を学びたいと思い、
ロンドンのセント マーチンズに通う予定でした。
ですが、当時のロンドンってかなり尖っていて
卒業コレクションも見たときに自分のやりたい方向性とは
合わないと感じて入学を見合わせることにしました。
そこからロンドンのあちこちを徘徊している時に
いい革屋さんがあることを知り、自分のミシンで革製品を
作り始めたのがバッグデザイナーになった経緯です。
US : ロンドンでは何から作り始めたんですか?
YK : 実は最初はライダースからで
次にボストンバッグを制作したときに
ロンドンのセレクトショップに興味を持っていただき、
何個か卸しをしていく中でバッグを中心に
製作するようになっていきました。
その後に学生時代の同期である江崎(betapostデザイナー)と
日本でEDROBERT JUDSONを始めて
自分のブランドMARY AL TERNAとALをスタートしました。

US : 展示会で山鹿さんがPOSTELEGANTの服を
着ていらっしゃってお二人がつながっていることを
知ったのですがいつからのお付き合いになるんですか?
NT : 12年前くらいの話ですかね。
前職のオンワード樫山で働いている時に
BEIGEに在籍していてそのブランドのバッグ制作
依頼を受けていたのが山鹿さんでした。
YK : そうそう。チーフすごく素敵な方ですよね。
BEIGEのバッグを依頼されて製作をしていた際中に
中田くんが入社した感じです。
でもその当時よりも今の方が話をしてるよね笑
NT : そうですね笑
実は山鹿さんがやられている
「MARY AL TERNA」の存在は前から知っていました。
ある時に中目黒で見かけた女性が持つ鞄が印象的で
カバンにスカーフが挟まっているプロダクトはどこのだろうと
今よりもインスタグラムが活発ではなかったので
Pinterestで調べているときにたどり着いて
そのデザイナーが今、BEIGEのバッグを製作していると
チーフに言われて興奮していたのは今でも覚えています。
UK :それほど前からのお付き合いだったんですね。
実は、今回の周年企画でお二人に声をかけしたのは
繋がりがあったことだけじゃなくて、
それ以上にブランドの親和性を感じていたのが理由です。
企画説明の為に、お食事をさせていただいた時に
実は、POSTELEGANTの過去のバッグ生産を
山鹿さんがやられていたとお話を伺った時は衝撃でしたし、
改めて今回のコラボは必然だったんじゃないかなと、、、

US : お二人とも素材への拘りがあると思いますが
バッグ視点と洋服視点でどういう基準で選んでいるのか
お聞きしたいです。
YK : そもそもレザーやキャンバスやナイロンで作ることが
普通なのでバッグってある程度ルールが決まっているんですよ。
強度とか、縫製できるできないで 使える素材がかなり絞られます。
バッグは表現が凝り固まっている世界ですから
触れちゃいけないものに触れたくなる感覚がありますね。
ALに関しては、これをバッグにしたら
面白いんじゃないかっていう素材しか扱わないようにしてます。
凧糸だったり和紙糸だったりバッグで表現された
ことがないような物を手掛けることを意識しています。
そして物を何か入れた時の表情が一番大事だから
どういう表情が生まれるのかを想像して
実用性とか機能面を加工や構成で工夫して
付け加えて成立させる方法を考えていますね。

US : 中田さんはどうですか?
NT : 基準となると、着心地ですかね。
実は最初に原料や番手の数字とかを見ているわけではなくて
10年20年と長く着て欲しいからこそ着心地が良いものを選ぶ。
何万枚の生地に触れて来た蓄積があるので
結果的に高級な生地を選んでしまっていますけど
実際は感覚的に素材を選んでいますね。
UK : 僕はまず展示会で生地触ることから始めるので
中田くんの洋服には毎度驚きがあるから本当に面白い。
初めて見たパリの展示会で感じた触感が忘れられなくて
メンズでの取り扱いは国内初だったけど
友人ということを差し引いてもこれはやばいぞと
伝えたい衝動に駆られてセレクトを決めました。
生地原価やばいでしょ?笑
NT : はい笑。
値段を見ながら生地を決めていないので。
UK : ビジネス的に大丈夫なんですか?
NT : 儲かりませんっていう品番とかいっぱいあるんだけど
こういうアイテムはこれぐらいで買えたほうが
良いって感覚もありますし。
結果的に、まあいっかってなっています。笑
US : POSTELEGANTの洋服は
本当に値段を気にしていないイメージで
心の底からこの生地が中田さんの中で
世界一良いんだっていう想いがひしひしと
伝わってくる感覚があります。

US : 今回製作していただいた素材は
どのようなものになるんでしょうか。
バッグ視点でもお聞かせ願いたいです。
NT :こちらはラッセルという特殊な網地になります。
ニットだと基本的に横に編み目が走りますし、
織物だと斜めだったり、平織だったりしますが
これはその2つの間の子みたいな感じで
斜めにニットの編み目が走るというものです。
それ故に縦には全く伸びないというのが特徴で
表には和紙、裏にはコットンを中心に出るようにし
ラッセルらしいバスケット感がありつつも、
肌あたりが良くて、コントラストのある生地にしました。
経験上、こういうのって意外となくて
元々はナイロンと和紙で織られたものを
コットンと和紙に改良し、全て天然素材にしました。
和紙が入ることで奥行きもそうですけど
コットンだけだとクタクタになってしまうのを
防ぐ役割も担っています。
しかも今回はアンリミテッドさんが希望された配色
表面は黒80%白20%で奥に茶色が伺えるような
特別に生地を織らせていただきました。

US : 我儘を聞いてくださり、本当にありがとうございます。
過去のシーズンでこの素材を使っていたのが印象的で
実際に触らせていただいた時の感動は忘れません。
そして、年々和紙の魅力に気付いてきました。
バッグにするとなるとやはりNGなんでしょうか。
YK : NGっていうわけでもないんですけど
バッグの製作過程の中で素材はハサミじゃなく
抜き型を使ってスコンって抜くように裁断を行う為
今回の素材だと抜いているうちに伸びてしまって
歪んで来る恐れが大いにあります。
バッグ自体に伸びる素材は使えないっていうのが
第一にあってそれを考慮した上で裁断し、
内側にナイロンを貼り合わせることで
強度を高めて制作しました。
縫製の面でも結構難易度は高かったです、、、
UK : ニットバッグって
基本的に落ち感が強くて構築的にならないことが
普通なのでこの仕上がりには驚きました。
そういう副資材を巧みに使うことで
如何に長く使ってもらえるかをしっかりと
考えていらっしゃるんだと感じました。
YK : あとは凹凸感のある素材の方が
汚れが目立ちにくいっていうのも
バッグだと重要な部分で
一般的にキャンバス生地が使われるのとかも
頂点にしか汚れがつかないからとか
理由があるからなんです。

US : 和紙という素材を
もう少し深掘りさせていただきたいです。
NT : 紙糸自体は昔から存在するんですが
良いとは思っていても高価なものでした。
価格面でどうしても扱いにくい。
ようやくここ数年で生産が安定してきて
値段も少し落ち着いてきました。
そしてその中で更に高いのが和紙です。
厳密にいうとマニラ麻とかの植物性繊維が原材料。
夏でいうとリネンもさっぱりしていて良いんですけど
和紙にしか無い良いところが沢山あります。
でも値段の部分からリネンが選ばれるのが現状
本当は使いたい人はたくさんいると思います。
UK : 和紙って紡績するのですか?
NT : ペラペラの紙を細く切って、
撚っていく工程なんですよ。
まさに超特殊な作り方をしているので
量産が難しかったという背景です。
YK : あと、洋紙も糸としてあるにはあるんですけど
いわゆる和紙と呼ばれる製法じゃないと
ここまで細い状態で強度は保てないんですよ。
NT : パリとかで展示会をした時とかは
和紙100%のアイテムがインラインにあるので
それを海外のバイヤーさんたちに紹介すると
”AMAIZING!”ってたくさんの方から言われますね。
US : 和紙ってリネンよりも綺麗だなって思います。
ALのバッグもリネンだとあの雰囲気にならないですよね?
NT : そう。それに軽さとか節がないのも良いですよね。
リネンだと節があるから荒々しい粒が出ますけど、
和紙は糸自体もツルツルで毛羽がないから
美しい仕上がりになるんですよ。

UK : 次はものづくりで大事にしているところを
お聞かせ願いたいです。
NT : いつも言うんですが
10年、20年、着続けて欲しいと思っています。
着た時にチクチクしたら20年着ないよねって僕は思います。
だから最初から一貫して素材選びとか強度、耐久性などから
デザインを煮詰めていきます。
独立して、服作りをやっていく中で
半年、一年後に捨てられるようなものを
作るっていうのはどうしても考えられなくて、
せっかくお金を払って気に入って着てもらうなら
10年、20年、一生持っていたいって
思ってもらえるようなものを
生み出すことを心掛けていますね。
US : POSTELEGANTの洋服は
素材感故に着る時期が本当に楽しみなんです。
その旬の季節になったらこのマインドになれる
そういう服はすごく素敵だなって思っています。
UK : 牛丸が言った通り、季節を楽しめるっていう
感覚を教えてくれたのはPOSTELEGANTかも。
ウールギャバを始めオールシーズン着れる洋服、
通年素材の良さって感覚も絶対的にありますけど
特定の季節に袖を通したときに気持ちがいいっていう感覚が
中田くんの洋服には存在していて、
最高の通年素材がお店の核としてあるからこそ
それをスタイリングで活かすことができるので
是非このままの素材使いを続けて欲しい。
NT : ブランドとして天然繊維が多い理由も
近い感覚があって季節とか旬の野菜とか
そういうものと洋服も同じだと思っています。
例えば和紙とかも
「これから夏にかけて着たら気持ちがいいよね」とか
服って季節が付き纏うものなので。
別に合繊を着ないってわけではないんですけど
結果的にそういうのが好きだなって思います。
UK : 自分は気に入っている服を着続けていきたいタイプですが
365日一緒の組み合わせっていうのは絶対に嫌なんですよね。
この時期にこれをこういうスタイルで着ることも
楽しいですよっていうのをお客様には伝えていて
ペースは人それぞれですけど有意義な物の増やし方を
私達は提案したいと思っています。

US : 山鹿さんが大事にされていることはなんですか?
YK : バッグなので長く使える道具って考えてしまうと
代表格みたいなものがある程度できてしまっているので、
私の中でキーワードにしているのは
「佇まい」です。
自分のクローゼットの中からバッグを選ぶっていう行動
自体が皆さんすごく少なくなってきてるから、
その選べる範囲が広がるように持った時の
雰囲気だけではなくて、どこに置いてあっても
好きでいられる「佇まい」になるように意識していますね。
US : 元々はお二人ともレディース出身なので
メンズからのデザイナーさんとは
違う感覚があるのでしょうか。
YK : 自分のためにというより側から見たときに
美しく見えるように作る感覚が強いと思います。
例えば、友人だったり彼女だったり
自分に近い人たちが楽しんでくれている方が
楽しくなる感覚がありますね。
NT : レディースだと自分は着ない前提じゃないですか、
なので客観的な物作りをしていると思います。
UK : 持っている人の人物像があったりするんですか?
YK : バッグは洋服よりも様々な人にアプローチするもの
なのでこの人にはこれが合うっていうのは
あまり考えてはいないですね。
バッグは物を入れる容量が重要だったりするので用途であったり、
フォルムであったりプロダクトからアプローチするように
心がけています。
NT : 強いていうなら人間像ですかね。
作り手の自分の感覚するとアイテムを毎シーズン
買い替えるような人たちに響くようなブランドではないと思うので
着心地が良くて20年持ってほしいとか
そういう考え方で生きている人を想像しています。
コレクションのルックとかも
こんな季節にはこんな場所に行って
ワインやコーヒーとか飲んでるんじゃないかな、
こう過ごしているんじゃないかな。
そういう価値観を持つ人たちをイメージしてるので
物作りにもヴィジュアルにも影響していると思います。
US : 山鹿さんはヴィジュアルで
意識されていることはありますか?
YK : 文章ではなく写真で伝わるように意識しています。
あんまり空気感を作りすぎないというか、
日本の民芸品とかそういう着想源を入れたり
アイテムが前に出るようなイメージです。
基本的に無味無臭みたいな感覚で
正直ルックとかもなくて良いのかなとも思っています。
NT : 自分的にすごく面白いなと思うのは
MARY AL TERNAは
昔からヴィジュアルをしっかり作っているイメージなんですが
ALのプロダクトが前に出るアプローチもできるじゃないですか
作り手としてその二面性ができるのが凄いと思っています。
結構偏りがちになるというか、
そもそもアウトプットが違うと思うので。
UK : 中田くんもPOSTELEGANTだけじゃなく
The Terrusseだったり色々なディレクションも手掛けている上
去年の大阪万博もユニフォームのことも凄いですけどね、、、、
少し万博の話もお聞きしたいです。
NT : 記事にするには万博協会に許可を取らないといけなくて。
UK : それならそのお話は店頭でさせていただきます笑

UK : では最後の質問になりますが
今後の展望はどうお考えですか?
YK : 今現在、海外の人からの注目が
伸びてきてくれている感覚があるので
もっと日本の良さ、日本の生地っていうところを
伝えていきたいと思っています。
これからも数多くの素材と向き合っていく中で
まだ知り尽くせていない素材があると感じています。
だからこそ、より深く素材を掘り下げながら
新たなラインナップやバッグ以外のアプローチにも
挑戦していきたいと考えていますね。
UK : ALは山鹿さんが大切にしたい感覚や美意識を
純度高く表現し続けているブランドだと思っています。
だからこそ、ただ間口を広げていくという考え方だと
きっと今とは違う見え方になってしまう部分もある。
そういった”好きな景色を曖昧にしない”ということを
すごく大切にされているんだろうなと感じています。
街にALのバッグを持っている人が何万人もいる
景色を目指しているわけではなくて
自然とその人のスタイルに馴染みながら
さりげないものとして映る感覚が好きなんだろうなって。
YK : そうですね。
あとは、どんどん愛着が湧いてくるような方が
ALとしては存在意義があると思っていますね。
US : 前回お話しさせていただいた時に
山鹿さんが「記憶に残るプロダクトを作りたい」と
仰っていたのがすごく印象に残っていて。
作ったバックを誰かが持ってくれて
その姿を見た別の誰かがまた惹かれて手に取ってくれる。
そういう自然な繋がり方が理想だというお話が、
今回伺ったALの考え方とも重なる部分があると感じました。
実際に今回別注させていただいたバッグもスタッフ全員が
純粋に「この形がすごくいい」と感じたところから始まっていて、
そこに私たちらしい視点や提案を重ねることで
また新しい繋がりや景色が生まれていくんじゃないかと。
UK : そういう意味でも、今回のバッグは
記憶に残る存在になりそうですよね。
以前、RAINKMAKERさんとご一緒させていただいた企画も、
自分たちの中ではとても印象が残っていて
実際に今でも長く使ってくれている方が多い。
今回の企画も単なる一時的なものではなく
時間をかけてそれぞれの中に残っていく存在に
なっていくと思っています。

US : 次は中田さんのお話もお聞きしたいです。
NT : 服作りはこれからも続けていきたいと思っていますが、
ただブランドが大きく売れて欲しい、
有名になりたいという感覚とは少し違っていて。
自分にとって服作りは、“デザイナー”という肩書きのためではなく、
人生の一部として自然に続いていくものなんです。
10年着て欲しいと言いながら
ブランドが数年で終わってしまったら意味がないですし、
10年後にも最初に買った服を着続けてくれている人がいる。
そんな積み重ねの先に、自分たちのやってきたことの答えが
あるんだと思っています。
もちろん、関わる工場や生地屋さん、お店の方々にとって
良い循環が生まれることは大切だと思っていますが
ただ、そのために自分たちが大切にしてきた感覚まで
曲げる必要はないとも感じていますね。
そして本来は、
ブランドとして多くを説明したいわけではないんです。
まず着てみて、使ってみて、
「なんでこんなにいいんだろう」と自然に感じてもらう。
その後背景を知った時に、
「だから惹かれていたんだ」と繋がっていく。
その順番が理想だと思っています。
だからInstagramでも、
素材や原料について細かく説明することは
ほとんどしてきませんでした。
ただ、何も発信しないままでいることも少し違うのかもしれないと、
10年続けてきた中で感じ始めていて。
これからは服そのものに答えを書くのではなく、
活動や場所、人との繋がりを通して、
そういう価値観に自然と共感してくれる人が増えていく環境を
作っていきたいと思っています。
UK : POSTELEGANTは、プロダクトそのものの空気感や色、
時間軸をすごく大切にしているブランドなんだろうなと、
使っていくうちに強く感じていくようになりました。
日本のブランドって、誰が着ても綺麗に見えるバランスというか
今この感じだよねってシルエットを作ることが
本当に恐ろしいぐらい長けてる思うんです。
もちろんそれは素晴らしいことなんですけど、
POSTELEGANTはそこに寄せようとしていないというか、
たぶん分かった上で、やらないようにしているとすら感じていて。
自分たちも洋服屋として、
別注を通して解像度を上げることで少しでも間口を広げ
ブランドの魅力を届けることも仕事の一つだと思っています。
ただその一方で、そういう“分かりやすさ”だけではない、
芯のあるブランドだからこその格好良さも
確実に存在すると思っているんです。
何を着ても想像通りに100点、
というブランドは今の時代たくさんある。
その中で中田さんは、“自分にしか作れないもの”を
形にしようとしているように感じますし、
今日お話を聞いていても、“たくさんの人に選んで貰えること”だけが
正解ではないんだと改めて感じました。
だからこそ、
このブランドの感覚や価値観にちゃんと共感してくれる人たちが
少しずつ増えていくことが、POSTELEGANTにとって
自然な形なんじゃないかなと思っています。

NT : 本当にその通りです。
僕自身、洋服をかなり長いスパンで見ている感覚があるので。
正直、本音を言えばシーズンごとではなく、
もっと自分たちのリズムで発表できるのが理想なんです。
ただ現実的には春夏・秋冬という流れがあるので、
その中でやってはいるんですけど、
実際は真冬のコートみたいなもの以外、
そこまで強くシーズンを分けて考えているわけではなくて。
最近の和紙ウールのジャケットも春物ですが、
秋冬でも全然着られると思いますし、
「今年買ったから今年着る」というより、
来年でも数年後でも自然と手に取ってもらえるものを
作りたいと思っています。
もちろん、その時にしか出会えない生地や素材もある。
でも、そういう瞬間性と、長く付き合える感覚の両方を持ちながら、
少し俯瞰した目線で洋服を見てもらえたら嬉しいですね。
UK : 今は着れないかもしれないけど来年のために
今買ってとか、秋にこう合わせたらいいかもな、とか。
一期一会の出会いこそ洋服の面白さだと思います。
基礎的な季節感はもちろん大事なんですけど、
今回の企画したアイテムみたいに上手く気候にアジャストさせて
コーディネートの広がりを楽しんで頂くようなものって
冬は流石に厳しいですけど「この季節だからこれを着る」
みたいな縛りは、あまり意識しなくてもいいというか、
もう少し取っ払ってもいいんじゃないかと。
そういう自由にスタイリングを捉える感覚って根本的に
その洋服を愛して無ければきっと成立しないので
恒久的な価値を持ち続ける部分の一つとして
僕たちは”素材”を大切にしています。
家具や建築みたいに、
時間が経っても価値が残るものに近い感覚があって
何十年前のものを今見ても素敵だと思えるように、
洋服もそういう存在であれたらという理想を持っています。
NT : 僕が特に家具や建築で感じるのは、
やっぱり“時間のスパンの長さ”なんですよね。
そのシーズンごとのシルエットがどうとかではなくて、
そもそも家具ってそういう前提で作られていないというか、
開発にも時間がかかるし、一度出たものが10年単位で
当たり前に存在し続ける世界じゃないですか。
一回買ったら一生その家の当たり前に
なるかもしれないという前提で物が作られている。
その上で、形やディテール、素材が選ばれていると思うんです。
そう考えた時に、
その“時間の長さ”がちゃんと乗っているかどうかは、
プロダクトを見た瞬間に出ている気がしていて。
作り手がどこまでその時間軸を想定してアウトプットしているのか、
それがやっぱり一番魅力を感じるところですね。

UK : 少し余談になるんですが、古くなっても
かっこいいものから出るあの空気感ってなんなんでしょうね。
YK : 家具でいうと、
その時代における“最高のもの”を前提に選ばれていて、
結果的にそれが今も残っているんだと思うんですよね。
選択肢が今ほど多くなかった分、良いとされるものが
自然と基準になっていて、迷う余地が少なかったというか。
NT : 昔のものって、
今よりももっと“作り手主導”だったんだと思うんですよね。
マーケティングというより、
「今これが一番いいからこれを作る」という
純度の高さが先にあったというか。
今はどうしても、いくらで作ってどう売るか、どう広げるかみたいな
マーケティングの思考が先に来るので、
そこに触れていると、どこが作り手主導なのか、
どこがビジネス主導なのかはやっぱり見えてくる。
でもその中で、
どれだけ純度を落とさずにいられるかが
すごく大事なんだと思います。
作家性のあるものや、作家さんのプロダクトに惹かれるのも、
結局「なんでこれを作ったのか」がちゃんと見えるからなんですよね。
昔の家具や車もそうで、
その時代に出せる最高を出し切っているからこそ、
今見ても“本物感”が残っている。
結果的にビジネスを超えた部分が強かったから、
時間を超えて愛されているんじゃないかと。
服やバッグ、靴やメガネみたいな職人的な領域でも、
「今っぽいから売れるでしょ」という発想は
どうしても見えてしまう。
その外側でどこまで勝負しているかが、
そのブランドや作り手の強さなのかなと思います。
ただ、ここまでの話ってお客さん目線だと少し難しい部分もあって、
どちらかというと作り手側の視点なのかもしれないですね、、、
US : 永く物作りや
業界に関わっている人たちの視点からお話を受けて、
今日で人生のレベルが上がったと思います笑
今回の別注を通して、
お二人が生み出した本物のプロダクトのパワーを
感じ取っていただけたらすごく嬉しいです。
シーズンに縛られるのではなく、使う人それぞれの時間の中で
自然と育っていくプロダクトとして
お客様にも伝えたいと思います。
本当にありがとうございました。
NT,YK : 楽しみにしていただければと思います。
ありがとうございました。
【 schedule 】
“5/30” 20th exclusive by AL×POSTELEGANT
”6/6” 20th exclusive by Kearny
“7/4” 20th exclusive by THERERACS
“7/11” 20th exclusive by Producttwelve
“7/24-7/27″RAINMAKER 27ss PreOrder
【 UNLIMITED -lounge- 】
〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄3-23-24
NAGOYA FLAT 1F
052-251-6680
https://unlimited-web.jp/