Unlimited-lounge- 20周年という節目に、私達が届けたいもの。
それは完成したプロダクトだけではなく、そこに込められた想いや、作り手の存在です。
限定アイテムの制作にあたり、 デザイナーへのインタビューを行いました。
” BODHI “
水谷 倫 氏

鵜飼(以下U) 永井(以下N) : 皆様にお聞きしています。
なぜデザイナーになったのですか?
水谷(以下M) :
衣食住に関わる物は全部好きなんですけど、
中でも洋服は、自分を表現する道具として
一番わかりやすいものだと思っています。
同じ服でも着る人の体型や着こなしによって
見え方がまったく変わるし、すごく個性が出る。
洋服っていう“見た目を通じた表現”に惹かれたのが
デザインを志したきっかけです。
N : 確かに。
その人らしさを体現してくれる唯一無二だと思います。
水谷さんの過去をもっと教えてください。
昔、どういう洋服を着たりしてましたか?
M : 僕の世代だと20代の頃はエディスリマンが人気で
ディオールのスキニーデニムの影響を受けてよく履いてました。
U:僕もまさに世代でよく履いていました。
エディのあのスタイルかっこよかったですよね。
個人的に水谷さんは古着やオーセンティックなイメージだったので
その時代のモードを通っているの驚きです。
M:意外でしょ?笑)
あとカルチャーをミックスさせることが楽しくて、
古着とモードを組み合わせて着る事も多かったですね。
ヴィンテージやデニムから洋服に興味を持ったのですが、
機能に基づいた理にかなった必要性から生まれたデザインが、
新しい提案によって同じモノでも素材や見せ方や解釈によって違って見える。
その新鮮さに僕は、今も魅了されています。
U :当時そうゆう視点で見れていませんでしたが、
その面白さを捉えられる広い視野をお持ちですよね。
出会った当初の足元がALDENでしたし、
数年前はJ.M WESTON、今日は意外なGUIDIですね。
今もそれぞれ愛用されていると思うのですが
いわゆるTHE定番を時代を掴んだ
スタイルバランスで楽しんでいるのが印象的で
改めてめちゃくちゃ洋服好きなんだなと。
M: ありがとうございます。
僕の中でファッションは身だしなみです。
このアイテムはこれと合わせるみたいなルールがありますが、
常に清潔感のあるスタイリングを意識しています。
極端な話、毎日同じ服でも僕はいいと思います。
食で例えるなら、毎日同じ白ご飯食べるのもいいんですけど、
飽きないように パッと見同じでも味付けは変える。
っていうのが自分の魅せ方かなって思っています。
U:マイルール大事ですよね。
僕もいつも同じ物と向き合うからこそスタイリングに
絶妙な変化を加えて更新していく感覚なので凄く共感できます。
毎年着るからこそ見えてくる景色って必ずありますよね。
不思議と去年より今年の方がしっくり来るみたいなことがあったりもしますし。

U:もう一つ聞いてみたかったことがあります。
先程の靴の話に続いて、ヘインズのTシャツように安価な物から、
パテックフリップのように超高価な物まで
水谷さんの良いと思える物の振り幅が広いなと思っていて
水谷さんの中で物を選ぶ基準って何かあるんですか?
M:価格帯ではなくて実用性の部分を大切にしています。
天然素材を扱っていると分かってきますけど、
風化や傷、劣化が起きるのが付きもので
そこも含めて完成されてるなって思うモノを選んでいます。
自分が使っていく中で変化していく事を想像して
面白いなとか味が出てくると思うモノ。
食べ物でいう旨みの部分だと捉えて向き合えるモノです。
だからヘインズのくたり方やパテックの傷付き方、
デニムの色落ちの仕方、革が育っていく経年変化、
選ぶモノ全てに僕の基準があります。
U:なるほど腑に落ちました。
N : さすがですね。笑
完成された瞬間より、変化していく過程ですか。
水谷さんの大切にしてる
“モノを選ぶロジック” やっぱりありましたね。
N : モノを選ぶ基準があるように
モノを作る基準や軸もあったりするんですか?
また、天然素材を選んだ理由も気になります。
M : そうですね。
選ぶ基準と作る基準は、どちらも同じです。
少し重複してしまう所があるんですが、
一緒に付き合って、育てていくモノとして作る以上、
純粋に良いモノでありたいと思っています。
モノの使い方や時間と共に変化していく
過程そのものを楽しめるモノを作っていきたいです。
僕が化繊ではなく天然素材を選んだ理由も同じで一貫しています。
N : なるほど、自分がどう付き合いたいか。
という感覚がそのままモノづくりに反映されていて
“変化していく楽しさ” というのが
水谷さんの中でキーワードになってるんですね。
選ぶと作る。
僕の中では、分けて考えていましたが、
水谷さんのお話を聞いて凄く納得がいきました。
N :水谷さん的にBODHIをこう着て欲しいって理想とかありますか?
M: どう着てもいいし、その人に合えばいい。
サイズ感も自由に着て良いと思います。
極められてる素材ってどう料理しても良いモノにしかならない。
煮ても焼いても、ちゃんと美味しい。
だからこそ、製品になるまでの工程を物凄く大事にして
もっと良いモノとして仕上げる為に向き合い続け、
モノ作りを楽しんでいます。
満足して貰えたらそれで充分。
U : 確かに。
良いモノは適当に着ててもなんか良い雰囲気でますもんね。
ふと思い返してみると買って下さった方達は
色んなブランドと合わせて、
色んな着方して下さってるイメージですね。
M : そうなんです。
ジャストサイズで着てる人もいますし、
オーバーサイズでゆったり着る人もいます。
モノそのものを見てほしいと思っているので
BODHI はブランド立ち上げ当初、
ヴィジュアルすら要らないのかなって思っていました。

U : 当時物撮りオンリーでしたよね。
M: ヴィジュアルや作り手のイメージが強く出てしまうと、
どうしても受け取り方が限定されてしまうので。
BODHI を使う方達には
出来るだけ先入観を持たずに素直に「着たい」と思ってもらいたい。
良い素材を追求して形にしているからこそ
余計な演出はなくてもいいのかなと思っています。
N: なるほど、、、。
着方も含めて、着る人に委ねている感覚なんですね。
モノそのものをフラットに見てほしい気持ち、
素材に対しての絶対的信頼度がしっかり伝わりました。
N :素材でいえば、今回の20周年企画で依頼させて頂いてますが
コットン× カシミヤ× シルクの三つの素材混紡シリーズ
めちゃくちゃ良かったです。
素材も一からオリジナルで製作されてると仰っていましたが、
その素材を作ろうと思った理由をお聞きしたいです。
M: コットン100%のヘインズTシャツをずっと着てたんですけど
劣化しやすく、変色や匂いが蓄積しやすくて、、、。
コットンの良い性質を活かしながら、
耐久性だったり機能性を高められないかなって
作り始めたのがきっかけです。
元々コットン×カシミヤの混紡のみでしたが、
機能性をもっと改善出来るのでは? と
理想を求め、模索していたタイミングで
シルクと出会い、扱い始めた時だったので
シルクをブレンドしてみました。
すると肌触り、消臭性や吸水性、吸湿性といった
機能性が格段にグレードアップしたんですよ。
これは定番化しようと決めた流れになりますね。
U & N :なるほど。
ランクの高いコットンや細番手の糸で
高密度に編めば柔らかくて気持ちの良い素材もあると思いますが、
敢えてシルクを選んだ理由があるんですか?
シルケット加工とかすると見た目と質感が長持ちすると思いますが、
BODHI の製品は加工系を使ってるイメージがなくて、
なぜ使わないのかも気になりますね。
M: コットンは洗っていくうちに表面の光沢が取れて、
風合いも落ちてくるので最初がピークなんですよ。
カシミヤやシルクを使う理由は、使っていくほどに良くなるから。
天然素材は基本的に消耗していくネガティブなイメージがあるので
使っていく事でもっと良くなるモノとしてポジティブに使いたかったんですよ。
なので今回のコットン×カシミヤ×シルク素材は
手に入れた時がスタートで使うことでどんどん良くなり、
育ってくる。というモノなんです。

N : コットン×カシミヤ×シルクの生地は
どのタイミングで素材を混ぜていて、
どんな雰囲気に仕上がっていくんですか?
M: 糸の段階です。
表現が難しいのですが、
簡潔に言うと着込めば着込むほどまろやかになっていき、
最終的に包み込まれるような柔らかさに育っていきます。
最初は少し固さを感じるんですよ。
まろやかさを素材で例えるなら、コットン100%がバターなら
この生地はホイップクリームみたいな感覚です。
N: なるほど。笑
触った時に感じる、表面のぬめり感がシルクなんですね。
原料選びで意識していることってありますか?
M: とにかく妥協をしないことですね。
妥協してしまうと、改善の余地が出てきてしまうので。
繰り返しアップデートし続けないといけなくなります。
アップデート自体は、いいことだと思うんですけど、
求め続けるのではなく、最初から完成させることを意識しています。
最初にしっかり作っておけば、
着る人にとっても安心して長く楽しめるモノになります。
そんな考え方で、素材を選んでいますね。
N : なるほど。
パッと見た時の雰囲気や実際触った時に
あっ、凄いこれ! って驚きがあって
深掘りしてくとちゃんと根拠があるんです。
の方が素直に欲しいって思いますし、
安心して長く楽しめそうって思いますもんね。

U : ふと思ったのですが、
襟ぐりや肩の縫製部分って共地ですか?
M: 良い所に気付いてくれましたね。
タンクトップはフライスではなく、
身頃の生地と同じ生地(共地) にしています。
共地だと生地に硬さが出て伸びにくくなるんです。
N : BODHI が作るカットソーは全て同じ仕様なんですか?
M : Tシャツはフライスです。
オリジナルでフライスを一から作ってます。
モノによって適材適所で変えてて、
フライスだけではなくステッチの入れ方も生地によって変えてます。
着てても気にならない人のが多いんですけど、
僕はそういうこともやってます。
N: 凄い ! さすがですね ! 手間かかってますね。
U : 今モンゴルで生産されているブランドは数多くあると思います。
その中でBODHI との違いをお聞き出来たら嬉しいです。
M: 他と違いがあるとすれば、
何を選ぶかではなく、どう向き合うか。
世界で最も良いとされるモノだからこそ、
素材の本質を壊さないよう試行錯誤しています。
ホワイトカシミヤは内モンゴルにのみ生息する生き物なので、
存在そのものを大事にしたい。
現地から受け取ったものに余計なことはせず、ただ形にする。
それが意識していることです。
この価値を伝え続けていけるように日々向き合ってます。
U : BODHI の単価よりも安価なカシミヤもありますが、
背景としては原料の単価が違うんですか?
M: そうですね。外モンゴル産だったり、
原料単価による違いも大きいと思います。
ただ、カシミヤだから高い。良いものだ。
という考え方にあまり意味はないと思います。
“高いから良いのではなく、良いものだから高くなる。”
と僕は考えます。
ホワイトカシミヤという素材の純度と機能の価値。
その純粋な理由で良いと思ったから、
この素材に惹かれて選んでいます。
結果として価格は高くなりますが、、、。笑
「カシミヤ」という言葉の響きに価値を見出さず、
本質的な所で評価して貰えることが重要です。
N: なるほど。本質的ですね。
僕も良いモノは必然的に価値が上がるのは自然なことだと思います。
シルク素材を使っている理由も同じで純粋に良いと思ったからなんですね。
M: そうなんです。
BODHI は天然素材のブランドとして、
様々なことにチャレンジしてるので
良いモノは良いと一貫して必要なモノだから使う。
ただ、それだけです。
N : 素材以外に共通する拘りとかありますか?
M: 僕が作るモノ全てに言えますが、
カジュアルとドレスの要素どちらも欲しいので
リブの細さや襟ぐりのリブなどディテールに反映させてます。
それが1cmなのか2cmなのか3cmなのかで顔が変わるんですよね。
ステッチの運針の出方、ピッチの幅を全部きれいに揃えて
カジュアルとドレスの真ん中をとってます。
隅々まで細かくやるので一見、普通のT シャツですけど
よくみてもらうと僕の法則が入ってます。
U & N : 良いですね。
細部まで作り手の思想が感じられるのは
モノの完成度だけじゃない別の魅力が感じられますね。

N : 今回弊社 20周年ということで
特別なプロダクトとしてご協力頂き、ありがとうございます。
細かい仕様変更なども快く引き受けて下さいました。
水谷さん的に今回の別注、どう思われたのかなって 気になってます。笑
実際の所、どうでした?
M: 全然いいと思います !
別注っていうモノ自体、そのお店にしかない特別なモノじゃないですか。
お店のエッセンスがしっかり出てるものはリスペクトがありますし、
実際、今回依頼頂いた内容もアンリミテッドらしさが感じれらます。
僕と永井君、双方のコミュニケーションがあってこそ成り立ってるので
今回の企画がきっかけで集まって貰ったり、興味を持ってくれる。
BODHI を知って貰うきっかけになってくれたら嬉しいです。
N: そう言って頂けて、安心しました。
今回依頼したタンクトップですが、
実は、僕の求める理想の形で依頼したんですよ。
自分の趣味全開ですみません。笑
M: 最初企画を貰った時、
おっ、これは初めて受ける依頼だと思いましたよ。笑
今回の形にいきついた理由が気になってたんですよ。
逆に質問ですけど、どんな理由があるんですか?
N: 逆質問ですか。笑
僕の理想の話になるんですけど、
夏でも極力長袖を着たい派の人間なので
シャツを羽織ることが多いんですね。
そこで難しいと感じるのが、インナーで、、、。
機能性だけ求めるならタンクトップやノースリーブでも充分ですが、
シャツを開けても閉めてもカッコよく着れる
ファッション性との両軸で考えた時、
自分の中で これだ!!! って感じた形が
どんだけ探しても世の中になくて今回お願いするに至ったんですよね。
色々細かい指定をしてしまってすみません。
水谷さんが僕の意図をピンポイントで汲み取って下さるので
完成がめちゃくちゃ楽しみです。ご協力本当に感謝してます。
M : なるほど。
インナーとしての機能性と
ファッションとしてのバランスを追求した結果ってことなんですね。
他社さんからも受けたことがない初めての企画だったので
タンクトップ微調整は何かあるんだろうなって興味があったんですよ。
そういうことなんですね。納得できました。笑
N : ありがとうございます。笑
タンクトップってピタッと系が好きな人と
ゆるさがあるのが好きな人と二極化してるイメージがあって
BODHI のはどちらかと言えば、ピタッと系じゃないですか。
M: そうですね。
インナーとして機能を重視してるからね。
素材って肌に近い程、機能性が増すのでカシミヤもそうですけど、
肌に直接触れてる方が効果を発揮しやすい。
なのでBODHIでは素材を活かす為に、なるべく肌に触れるように作ってます。
ただ、一人一人感覚が違うし、
目的が違うのがデザインなので今回の企画はすごい良いと思います。
N : 最後になりますが、
ブランドとして今後どのような展望がありますか?
M: BODHI は単なるプロダクトとしての「モノ」ではなく、
身につけたときに生まれる感情や体験といった
「気持ち」も含めたブランドと考えています。
素材やデザインを通して、
人にとっての“豊かさ”を提供出来たら良いなと思ってます。
この豊かさとは、高級さやモノを持つ価値というよりも、
ご飯を食べて「美味しい」と感じるような、
誰にでも直感的に伝わる心地よさや満足感のようなものです。
この感覚は文化や言語に関係なく共通するものだと考えているので、
国を問わず多くの人に伝えていきたい。
そして、この価値観は時間とともに
自然に広がっていくものだと信じています。
BODHI というブランドを通して、
“感覚としての豊かさ” を継続的に発信し、伝えていきたいと思います。
N : とても素敵な考えです。
“感覚としての豊かさ” が段々と伝わり、
いつかは国や文化を越え、日常の中に溶け込む存在になれたら素敵です。
本日は、お時間頂きありがとうございました。
M:まずは、別注の反応を楽しみにしています。
こちらこそありがとうございました。
それでは、20周年企画 詳細 に続きます。
BODHI for Unlimitedlounge
20th Anniversary exclusive item “理想の形”