8/2(sat),3(sun),4(mon)
– kearny New Model Exhibition –
Instagramでは既に告知しておりますが、約 2年ぶりに
セルロイド素材を使った計5 型の新作モデルが登場します。
以前、こちらでご紹介しておりますが、
世界でも最も注目されるドイツ・ミュンヘンで開催される
メガネの展示会「Opti 2025」にも参加しました。
グローバルに活動を始めた今、2年ぶりのセルロイドに着手した意図や
また、ドイツでの展示会を経て何を感じたのか。
様々な経験値を蓄えた今、デザイナー熊谷氏は何を語るのか。
当店としても来年20周年を迎える節目の年に向けて、
改めてkearny と色濃く向き合いデザインが製品になるまでの
プロセスと工場の実状を織り交ぜながら
コアな部分をもっと沢山の人に伝えていけたらな、、、
なんて想いを抱きながらデザイナー熊谷氏に直接伺ってみました。
それではお楽しみください。
kearny interview ♯01

UNLIMITED(以下、U) –
本日はお忙しい中、お時間作って頂きありがとうございます。
早速ですが今回新しいシリーズが展開されますが、
具体的にはどのようなアイテムなんでしょうか?
熊谷氏(以下、K) –
こちらこそいつもありがとうございます。
今回 5つ新型があるんですけど、
”konide ”というシリーズで3型あります。
結構久々にセルロイドっていう素材を使いました。
Kシリーズがずっとアセテートとチタンだったので
keith,tommy のシーズンから入れると2年振りです。
U)- 2年ですか。セルロイド好きには待望の新作ですね。
なかなか新型が作りづらいという印象を持っていて、
セルロイド製ができるようになったのですか?
K)- そうですね。kearny の生産背景での話にはなってしまうんですけど
セルロイドを扱えるってところっていうのは実はかなり少ないんですよ。
佐々木セルロイドさんとかセルロイドをメインで削っている
会社もあるんですけど発火性が強く工業的に取り扱いづらい素材で
皆さんやりたくないっていう方向にはなってますね。
それでもやっぱりいい素材ではあるので続けてくれるってところが
何個かありそこにお願いしている感じなんですよ。
U)- やはりそういう実情なのですね。
今後は以前のようにセルロイドの新型が出なくなりそうですね。
K)-お願いしている所も大きな工場さんじゃないので
作れる量も限られていれば作れるデザインもかなり限られるんですよ。
U)-デザインにも縛りがあるんですね。
それは初耳です。
K)-そうなんです。自分がやりたい
デザインをやろうとするとセルロイドじゃ無理な事が多くて、、、
セルロイドを使わない別ラインの”ace kearny ”では、
デザインの幅が出せるっていうのがすごくポジティブに捉えていて
今までセルロイドでやってきた経験を使いながら、
新しいことに挑戦していくようなコレクションになっています。
U)-ありがとうございます。早速脱線してしまいました、、、
改めて今回のコレクションテーマに関してお聞かせ下さい。
K)- 少し説明が長くなるんですけど、
”konide” が日本語訳すると成層火山っていう意味になるんです。
要は、富士山とか噴火を繰り返して大きくなった山です。
僕の妻の実家が群馬県なんですが、新潟との県境に
赤城山っていう山があって妻の実家からその山がすごく綺麗に見えるので
よく眺めているんですけど、裾がすっごい長い山なんですよ。
なぜこれほど長いんだろうなっていうところから
山、、、とはなんなんだ? っていうところから入って調べたんですよ。
U)-熊谷さんらしいですね。
K)-成層火山って噴火繰り返すと
もちろん上にも伸びるんですけど横にも伸びてくるんですよ。
今1800mくらいしかないんですよ。赤城山って。
でも裾の長さから色んな学者さんが調べた結果、
昔は 5000mはあったであろうと言われている山だったんですよ。
日本の今一番大きい富士山って3770mくらいなんですけど、
それよりも1000m以上も大きかった。
ちょっとした日本史ですけど、台湾が一時期
日本だった頃では台湾に富士山よりも大きい山があるので、
当時の日本一って富士山じゃなかったんですよ。
台湾が中国になってから一番ってなったんですけど、
まあ、そういった歴史とかもありながらもみんな当たり前に
話していることも意外とそうじゃない時もあるんだよ。
固定概念を持ちすぎない方がいいんじゃないかなって
いうことを山を見ながらふと思ったんですよね。
そこをテーマにメガネを考えてみたいなって。
k)-せっかくなので自分のルーツを。と思って
取り入れたのが眼鏡の鼻の部分(ブリッジ)ですね。
妻の実家から見える赤城山の山頂の形で、いつも僕が眺めている形です。
それと鼻の内側の部分ですね。眼鏡を置くと
富士山に見えるようなデザインにしているんですよ。

U)- なるほど。ほんとですね。
デザインに根っこがあって静かな個性の放つ
kearny のこういう部分ってファンが多い気がします。
K)-ありがとうございます。
例えばdearieだと鍵穴のようになっているんですけど、
”konide ”は綺麗な山になるようにデザインしています。
まあ、思いっきり富士山やろうとすると眼鏡にならないので(笑)
ちゃんと山に見えるような作りにして山梨側から見る
裾が平等に伸びている形を模倣しています。
U)-テンプルエンドも変わリましたね。
K)-そうそう。実は富士山が埋め込まれていて、、、
こっちは静岡から見る片方裾が長いような富士山が入っています。
U)-こっちは富士山だったんですね。
言われてみれば確かに。
K)-更に言うと、今回山のサイズも使っていて
konide-2とkonide-3に関しては
5000mあった昔の赤城山の 10万分の1のサイズに設定しています。
5という数字を使いたいなと思って、天地幅が5cmです。
konide-1に関しては、富士山の3700mの
10万分の1の3.7cmに設定して、
山からとった高さにしています。
U)- 今回山尽くしですね。笑
K)- そうですね、、、
富士山の縮尺と赤城山が元々あった縮尺で作ったのがkonideです。
山からいつもヒントをもらっているので山の角度とか
自分が見たものと実際の高さとか過程としてあった高さとか
色んなことを眼鏡に落とし込んで作るっていうのを
今回のコレクションになっています。
U)- なるほど。ありがとうございます。
1,2,3ということは続編があるでしょうか。
K)-今回のkonide-1,2,3 に関しては
セルロイドで行きたいなっていう気持ちがあったので
沿った内容のデザインに落とし込んだんですよね。
ご想像の通りkonide- 4,5,6もあるんですけど
次は全部アセテートになるんですよ。
U)- なるほど。つまり段階的にコレクションラインナップに
変化をつけていく流れということでしょうか。
K)-はい。直近の”K series”とかは全てセルロイドを使っていません。
次のシーズンを含む話になってしまいますが ”konide”に関しては、
セルロイドも使ってアセテートも使ってチタンも使って
今までにやってきたことを存分に出したっていうシリーズに
したいなっていうのが根底にあったので、結構新しいことにも
挑戦するし、昔からの手法も使うしっていう考えです。
なのでセルロイドからスタートさせたっていう感じですかね。
そこからどう変化していくかみたいなところも
見ていただけたら嬉しいなと思っています。
U)-kearnyの歴史がわかるコレクションっていう感じなんですね。
毎度思考が深過ぎて頭が下がります。
なぜそこまで考えてデザインをされるのでしょうか?
こうゆうものが人気だからみたいな考え方とは
本当に無縁ですよね(笑)
K)-冒頭の話に戻りますが、セルロイドってデザインの制限もあるし、
kearny をはじめた当時より、使える色も5分の1になっています。
どんどん廃盤が進んでいく中でセルロイドだけで
オリジナリティを出すのが難しくなってきてます。
デザインとか、コンセプトだったりだとか
眼鏡をどういうふうに考えて作っているだとかを
しっかり持っていないとセルロイドで挑むっていうのは
個人的には不可能な領域に入ってきたなとは思っています。
U- なるほど。
だから発表しているコレクションには
しっかりとしたコンセプトがあるのですね。
ありがとうございます。

U)-そして、coit IIと grant II の2型についても
このままお聞かせ頂けますでしょうか?
K)- はい、もちろんです。
kearny がスタートした時からずっと作ってくれている方いらっしゃったんですよ。
coit とgrant に関しては、 2015年に発売したモデルなんですが、
千葉県の岡村眼鏡さんと作ったモデルで 岡村さんに
専業で作ってもらっていましたが、生産が出来なくなってしまいまして、、、、
眼鏡って作り方がたくさんある中で、昔ながらの手法で
作られる方で型とか全くなくても作れちゃう人なんですよ。
U)- そうなんですね。
具体的にどうゆう方法なのでしょうか?
K)- 現代で量産するにはレンズの形の金型とフレームの形の金型っていうのは
絶対に作らないといけないんですよね。
それをやらず、鋸でギコギコとライブ的に形をこうしたら
いいんじゃないのとか一緒に考えられる
「ジャズ」みたいな感じのやり方ですね。
それができる唯一の人だったんですよ。
U)- 凄すぎる、、、。
K)-その今ではあり得ない手法でサンプルを作って、
そこから金型を作り眼鏡を量産するのは、どこもできないんですよ。
図面から完璧にやらないと本来同じものって出来上がらないので。
でも廃盤にするのも勿体無いなと思っている部分もあるし、
coit も grant も僕も好きな品番だったので
coit II , grant II として復活したいなっていうので
ほとんどフレームの形もレンズの形も変えずに
バーを乗っけてツーブリッジにすることで
改めて復活させる流れになりました。
U- ありがとうございます。
思い入れのある2型の後継モデルということですね。
眼鏡と真撃に向き合い取り組んできた
熊谷さんと岡村さんの関わりが続いていくのは素敵です。
こちらの素材はセルロイドでしたっけ?
K)- 後継モデルですからこちらもセルロイドです。
でも、削っている工場の機械が1ヶ月以上 壊れていて、、、
納期が訳わからないことになりそうで
皆様にちょっと迷惑かける空気感がしてます、、、

U)- わかりました。お客様にもその旨お伝えしますね。
最後に今回発売した写真集に関してお聞かせください。
K)-今回作った写真集は”K serise”の本なのでそれしか載っていません。
題名も「 K for ____ 」 という名前です。
ミュンヘンの展示会が決まってたのでそこで名刺代わりに
何を持ってくかってなった時に、僕らが思う日本だったりとかを
持ってった方がいいんじゃないかって作ったので
基本的にはミュンヘンで渡すことを目的に作りました。
U)-いつも通り眼鏡の写真少なめですね(笑)
K)-そうですね。内容としては、過去出した作品と同じように
僕らが見たもの、感じたものを表現したりしています。
K)-大体のブランドさんって眼鏡の説明書を作るんですよ。
この眼鏡が何色があっていくらでサイズがこれで、、、みたいな。
それを当たり前に作るんですけどそういう説明書とかじゃなく、
感じて貰えるものを作らないといけないなって自分は思ってます。
眼鏡ってプロダクトではあるけどその奥行きに何があるのかだったりとか
背景に何を考えながらやっているのかとかっていうのをみてもらうために
今回の写真集を作ったって感じですかね。
U)- ZINE的な感じなんですか?
K)-うーん、なんですかね、、、
ZINEといえばZINEみたいなものなんですけど、
まぁkearnyの本って感じですかね。
U)- konide でいうと赤城山の曲線の様に
熊谷さんが見て感じたインスピレーション源の
”K serise “写真集バージョンだと思っています。
K)- そうですね。
何か物を作る時に何を考えて作っているとか、
何を見て作ってとかっていうのを残しているというか、
頭の中を本に収めている感じと言う方が伝わりやすいですかね。
U)- 熊谷さんを知れる本(説明書)ってことですね、。
ますます kearny を多くの方に知って頂きたいなと改めて思いました。
やっぱり作り手もリンクした上でkearnyを感じて頂きたいので
次回の”kearny interview♯02”ではドイツのお話を聞かせて下さい。
本日は ありがとうございました。
K)-もちろんです。
ありがとうございました。
イベントでお会い出来るのを楽しみにしてます。
また何かあれば、いつでもよろしくお願いしまーす。

– kearny New Model Exhibition –
8/2(sat) – 8/4(mon)
どうぞお楽しみに。
UNLIMITED
【 schedule 】
8/2.3 kearny eyewear newmodel exhibition
8/8.9.10 RAINMAKER 26ss pre order exhibition
8/23 second floor NEWSHOP OPEN
【 UNLIMITED -lounge- 】
〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄3-23-24
NAGOYA FLAT 1F
052-251-6680
https://unlimited-web.jp/
【 MON – FRI 】13:00 – 19:00 ※ closed on Tuesday
【 SAT,SUN,HOLIDAYS 】12:00 – 19:00